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2024年9月の同朋の会

 今回は間もなく迎える彼岸について、彼岸の冊子を基にしたお話でした。
 お彼岸で思いつくのは墓参りですね。彼岸期間には多くの方が墓参りに見えて墓地が色とりどりの花で飾られます。
 ところで彼岸とはどんな意味なのでしょうか?文字通り、彼の岸、向こう岸のことで、輪廻を超えた涅槃の境地、つまり悟りの世界、浄土の世界の事です。それに対し此岸とはこちら側、迷いと悩みの苦の世界、私達が生きている現実世界のことです。
 彼岸の中日は、昼と夜の長さが同じになり、太陽が真東から上り、真西に沈みます。長さが等しいことから、どちらにも偏らない、仏教が説く中道の教えに叶うとされています。
 我欲により分け隔てる苦悩の此岸から、分け隔てのない安楽の彼岸(浄土)を想い手を合わせる時なのです。
 お彼岸に亡き方々(諸仏)を偲びつつ、浄土を想い手を合わせお念仏する。浄土のはたらきにより、私の今の在り方が照らし出され、問われてくる。そんな大切な機縁になることが願われています。


(筆・坊守 釋尼育英)